西日本新聞 2016年(H28)7月12日
追悼 永六輔さん
『芸能史そのもの』 中西和久
「僕は20代で小沢昭一さん主宰の劇団「芸能座」に入り、そこで脚本を書いていた永さんに出会った。以来いつも背中を押してくれ、被差別を芝居のテーマにしてきた僕が上演で困難に直面した時は、応援団も結成してくれた。厳しさと柔軟さを持った人だった。
民俗学者の宮本常一さんに薫陶を受け、日本中を足で歩き、地方へのまなざしがあった。数々の名曲を生んだが、その歌詞には昭和の日本人の暗さやせつなさを映していた。戦後の芸能史を知り尽くした人で、自身が芸能史そのもの。ひとつの時代が終わった。」(談)