中西和久風人の工夫
野間宏(作家)
中西和久風人の「火の玉のはなし」は、
最近の一人芝居のなかで独特の語りと默(だんまり)と演技をよく工夫して統つくし、
新しい日本演芸の基となるきわまりない高みにある場を創造している。
世阿弥の華の根底に迫ろうとする渾身の努力が、
ひとふきの風の影のもとにかくされている。